うつ病の治療に効果的な抗うつ薬。ここでは抗うつ薬の有効性や、なぜ心理療法との組み合わせをお勧めするかについてお伝えします。
抗うつ薬は「モノアミン仮説」を前提として製薬されているのをご存じですか?
モノアミンとはドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質のことをいいます。
なかでもドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンは精神疾患に大きく関わっているとされ、これらモノアミンの異常が気分障害・不安障害・統合失調症に大きく関わっているとする仮説が立てられています。
抗うつ薬が効く仕組みとは
抗うつ薬には、三環系抗うつ薬・四環系抗うつ薬・SSRI・SNRI 等があります。
三環系抗うつ薬・SSRI・SNRI は、前シナプス神経細胞から放出されたモノアミンが再び細胞内へ取り込まれるのを阻害し、四環系抗うつ薬は前シナプスからのモノアミン放出量を増やすことで前後シナプス間のモノアミン量を増やします。
どちらもより多くのモノアミンを後シナプスに伝達させることでうつ病を軽減させる効果を狙っています。
抗うつ薬は万能ではない?
抗うつ薬の仕組みとして一般的に知られている「モノアミン仮説」。ですが、抗うつ薬のなかには一般的な抗うつ薬の作用機序とは逆に、前シナプスへの再取り込みを促進し、後シナプスへのモノアミン伝達を減少させるにもかかわらず、抗うつ薬としての効果が確認されている薬もあるなど、未だよく分かっていないことが多いようです。
また、これら抗うつ薬の有効率は臨床治験の効果を総括すると 70%程度で、残り 30%の患者には効果が十分ではないと言われています。
うつを繰り返さないために
うつは最初の投薬治療で症状が軽減した患者の 60%が再発を経験するといわれ、再発した患者の 70%が 3 回目の発症を経験し、さらに 3 回目の発症を経験した患者の 90%もの人が 4 回目の発症に至る可能性が高いともいわれています。
つまり最初の投薬で効果が十分でない30%の患者を含めると、うつ病を発症した患者の半数以上(60%超)が治りきらないということになります。また、再発を繰り返すほどに治りにくくなるともいえます。
このように、未だ発展途上ともいえる薬物療法を補完するという意味で心理療法は重要だと考えます。
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